建築用足場には様々なタイプがありますが、代表的なタイプの一つがくさび式です。
くさび式のパーツは比較的に少ないので、名称や作業手順を覚えやすいのが特徴です。
また、建物の形状に合わせやすいので、実用性が高いのもメリットです。
足場を組み立てるのは鳶職の仕事であり、部材や使用に関する知識が肝心となります。
そこで当記事では、くさび式足場の部材を紹介し、それぞれの役割について解説します。
【支柱と水平材】
くさび式足場のメインとなるパーツの名称は支柱で、
鋼管の周りにコブなる名称の留め具が一定間隔で配置されています。
このコブに各部材を結合し、足場が組み上げられます。
支柱には色々な長さがあり、組み合わせ方によって足場の高さを自由に変えられます。
最初の支柱にはジャッキが設置され、作業床が水平になるよう調整されます。
また、ジャッキは仮設足場の耐久性・安全性を確保するために欠かせないパーツです。
屋根などの勾配上では、ジャッキのプレートが稼働するものを用います。
支柱同士をつなぐのが水平材で、支柱のコブに打ち込む鋼管となります。
水平材はくさび式足場の手摺になるので、安全対策の要の部材です。
現在は手摺先行工法が基本ですが、くさび式は当工法との親和性が高いと言えます。
支柱にしろ手摺にしろ、コンパクトに梱包できるのが特徴です。
それ故、資材の運搬や仮置きに便利なのが大きなメリットです。
【アンチとブラケット】
くさび式足場の作業床となるパーツのが、アンチの名称がある踏み板です。
通路やステージを含め、足場の様々な床部にアンチが用いられます。
基本的な長さは約1.8メートルですが、幅に関しては種類があります。
地上第一の床部は2メートル以下になっており、建物と作業床の隙間は30センチ以内と定まっています。
素材に関しては鋼製やアルミがあり、鋼製の場合はメッシュ構造が主流です。
そしてアンチを支えるパーツとして、ブラケットなる名称の部材があります。
主に一側タイプに使われており、支柱のコブに直接打ち込むことができます。
ブラケットはアンチを架ける部材として、特に狭い場所で活躍します。
ブラケットには伸縮タイプがあり、幅の狭いアンチに対応します。
その他、ブラケットは足場の手摺やストッパーにもなり、様々な用途に対応できるのもメリットです。
【階段と安全対策】
作業員が足場を昇降するには、階段(ステップ)が欠かせません。
階段を使えば、道具や材料を持って上がれます。
現在はアルミ素材が主流になっており、大きさの割には比較的に扱いやすくなっています。
階段の設置が難しい場所には、梯子が用いられます。
その場合は、最上段から60センチ以上の突き出しが必要で、安全ブロック等の併用が求められます。
作業床の安全対策として、作業床には手摺の設置が義務付けられています。
高さは作業床から約90センチとされますが、必要に応じて中段にも取り付けます。
2側足場等の場合は、作業床に巾木を取り付けることもあります。
そして、全体の強度を確保するために、筋交いの設置が義務付けられます。
筋交いは足場の外側に設置し、支柱最下部から支柱最上部のくさび受けまでつなげる必要があります。
角度は水平に対して45度の傾斜で、全層全スパンをカバーするのがポイントです。
また、足場の規模に応じて壁つなぎを取り付けます。
特に足場にシートを張る場合、壁つなぎの設置が重要です。
壁つなぎが設置できない場合は、火打ち材や控え材で足場の強度を確保します。
【まとめ】
くさび式足場の部材は、メーカーによって形状に多少の違いがあります。
但し、基本的にはハンマー一本あれば組み立てられるようになっています。
クランプを使う足場に比べれば、大幅に作業時間を短縮できます。
一方、組み立てが容易な分、適用する現場や建物の見極めが重要です。
そして、部材の特性を十分に把握して、適切な手順で足場を組み立てることが大事です。