ビルやマンション・プラントなどの建設現場にて高所での作業を専門とするのが鳶職人です。
華麗に動き回る姿はまさに現場の華、ただし危険性も高い職業であることもお分かり頂けるはずです。
少しでも安全に効率よく作業を行えるようにと鳶職人ならではの服装があり、
会社で用意してもらえたり自分で用意したりと入手方法は様々ながら
どの鳶職人の方も似たような服装をしているのはそのためです。
ニッカポッカ
鳶職人は皆さんニッカポッカというズボンを履いています。
太もものあたりはふくらんでダボダボ、一方で、すそはかなり短くひざ下部分をひもでくくります。
この特殊な形状には理由があります。
ダボっとしているからこそ膝が曲げやすく夏の暑い時期であっても汗をかいてズボンが貼りついてしまう
なんてことがないのです。
足が上げやすくて作業が邪魔されることはありません。
足首がきゅっと絞められているからこそ血流もよくなり、むくみも防げます。
風が吹いたら風になびくので、どの程度の風が吹いているのか見た目でも分かります。
突起物が出ていたらそこに布が触れて感知できて、センサーのような役割も持つのです。
触れる部分と実際に足がある場所は離れているからこそ、怪我する心配もありません。
さまざまなこだわりから作られたあの形状、
メーカーごとに柄や広がり具合の大小など違いがあるのでこだわりの強い鳶職人だと
決まったメーカーにオーダーメイドで作ってもらっているようです。
カラーバリエーションも豊富にあります。
下はニッカポッカ、それでは上はというと季節によって異なるものの大抵はポロシャツが選ばれるようです。
春秋は長袖のポロシャツで夏場は同じく長袖ながら薄手で色が明るいもの、
怪我や日焼けから守るためにも袖の長さは必須なのです。
更に寒くなるとブルゾンなどを着こみます。
手甲と安全靴
どこからくぎなどの危険物が飛び出しているか分からない現場ですから、
手や足を守るためにも鳶職人は手の装身具・靴にまでこだわっています。
手首から手の甲を守るのが手甲、汗が出る季節にはリストバンドのように汗をぬぐうのに使います。
汗をかいていると前が見えにくくなります。
それに塗れた状態で持つことで感電事故の危険性もあるので、こまめに拭ける服装は安全のためにも必須なのです。
手首は動脈を含め大切な血管が集中する場所、
大事故を防ぐため・そでが引っかかってしまわないようにといった意味もあります。
機能性だけでなくデザイン性の高い手甲の人気は高いです。
鉄骨やくぎ、どんなものが落下してくるか分かりませんから靴もただのスニーカーでは守り切れません。
そのため安全靴が使用されています。
かつては鳶職人といえば地下足袋だったのですが、こういった理由から取って変わられたのでした。
踏ん張りやすい・バランスが取りやすい・素足でいるような感覚で、
でこぼこが感じ取りやすいといったメリットがあった地下足袋、
でももしもの時には指先に鉄の硬いプレートが入った安全靴の方が最悪の事態が起こりにくいのです。
軽くて丈夫だし普通のスニーカーと変わらない見た目、若者を中心に広まっていくのも当然です。
最近では有名スポーツメーカーも安全靴の世界に進出してきており、
よりお洒落で使いやすい製品が多数出てきているのです。
まとめ
危険と隣り合わせの現場ですから、運動靴にジャージといった普段のスポーツをするような恰好では危険です。
鳶職人だからこその服装には実にさまざまな工夫が凝らされているというわけです。
今日もさまざまな高い所で鳶職人は華麗に飛び回って、お仕事をしているのです。